住宅メーカーは設計事務所の敵ですか?

 敵じゃないと言ったら嘘になります。が!

 住宅メーカーは、文字通り今後の住宅のあり方を研究し、今売れる住宅について、その社会性や経済性、利便性などに配慮し商品開発をしています。従いまして、その住宅づくりのノウハウは優れているものがあると認識しています。しかし、住宅産業の担い手である住宅メーカーが目指すことは、消費者層を広く持つことが販売増に直結する訳で、より多くの人の興味と意欲を意識するものになっていると思われます。これは、例えば外食産業で言うとファミリーレストランです。より多くの層の指示を得ているものの、本当に食べたいものが食べられるかと言うと疑問があります。和食・洋食・中華を問わず専門店じゃなくては食べられない「味」があるはずです。

つまり、住宅メーカーが造る住宅が本当に住む方それぞれの希望する住み方に合っているかどうかに疑問があるわけです。例をあげると、住宅を考えている方が住宅展示場を見学して、どうしても自分の望む住み方と違うと感じられた方が、あらためて設計事務所にご相談されるケースは大変多くあります。住宅産業としての住宅メーカーは否定致しませんが、専門店の「味」をお求めの方には、少し物足りなさを感じるものであると思いますし、また本当の望む住み方を見失う危険性は少なからず…。とも思います。

 結果的に「敵」であって「敵」じゃない・・と言うことになるでしょうか?